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Japanische Klassiker mit Furigana

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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

二階は昇口の処に三畳敷位の空間をおいて箪笥や長櫃を置いてあった。平吉は窓の傍に渋紙包を持って立っていた。

「なにをぼんやりしてるの」

平吉は眼に微笑いを見せていた。

「胡蓙を敷いておくれよ」

お高は渋紙包に手を持って来た。

「ここへ」

「そうよ」

平吉は渋紙包をわたして胡蓙を探した。胡蓙はすぐ傍の箪笥の横手に巻いて立てかけてあった。平吉はそれを執って敷きかけた。

「ここには、御一新前からの埃があるからね」

「へい」

「気をつけてね」

「へい」

胡蓙が解けるとともにもう薄すらと埃が見えた。お高は片手を団扇にして顔の前を煽いだ。

「云わないことか、それ、こんなに埃が立つじゃないの、しっかりおしよ」

「へい」

「へいじゃないよ、ほんとだよ」

「へい」

平吉は平気で胡蓙を敷いた。胡蓙は二枚あった。

「ほんとに厭、ねえ」

お高は渋紙包を胡蓙の上においてその上へ横すわりに坐った。

「これから衣服の始末をするから、手伝うのだよ」

平吉は昇口の方を背にして立ちながら何か嗅ぐようにしていた。

「臭いなあ」

お高も鼻をやった。

「黴じゃないの」

「黴でしょうか」

お高は艶かしい笑いを見せた。

「汝、黴の匂を嗅いで、へんな気がしやしないこと」