Japanische Klassiker mit Furigana
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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme
そこには櫟林に平行して里川が流れていて柳が飛び飛びに生えている土手に、五六人の者がちらばって釣を垂れていた。人の数こそちがっているが、それは彼が毎日見かける趣であった。その魚釣の中には海岸へ遊びに来ている人も一人や二人はきっと交っていた。そんな人は宿の大きなバケツを魚籃のかわりに持っていて、覗いてみると時たま小さな鮒を一二尾釣っていたり、四五寸ある沙魚を持っていたりする。
彼が歩いて来た道がその里川に支えられた処には、上に土を置いた板橋がかかっていた。その橋の右の袂にも釣竿を持った男が立っていた。それは鼻の下に靴ばけのような髯を生やした頬骨の出た男で、黒のモスの兵児帯を尻高に締めていた。小学校の教師か巡査かとでも云う物ごしであった。彼はその脚下に置いてある魚籃を覗いて見た。そこには五六尾の沙魚が入っていた。
(沙魚が釣れましたね)
と、彼が挨拶のかわりに云うと、
(今日は天気の具合が好いから、もすこし釣れそうなもんですが、釣れません)
(やっぱり天気によりますか、なあ)
(あんまり、明るい、水の底まで見える日は、いけないですよ、今日も、もすこし曇ると、なお好いのですが)