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Japanische Klassiker mit Furigana

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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

「ま、さ、か」と、政雄はおずおずと云った。平生であったらその老人の冗談を無駄口の端緒にして喋りだすところであった。

「それが、どうもへんだよ」と、老人は老婆の方を向いて、「なあ婆さん、尾形の容子が、すこしへんじゃないか」

「そうね」左枕に寝て顔をむこうに向けていた老婆は、もぞりとこっちへ寝返りして政雄の顔を見あげるようにして、

「どうしたの、尾形さん、何かまたやったの」

「そ、そんなことがあるものか」

「じゃ、どうしたの、いつもの尾形さんじゃないじゃないの」

「いや、今晩は、みょうに厭な晩だから」と、云って政雄は四辺をきょときょと見ていたが、「姨さん、今晩は陰気でしょうがない、気のどくだが、二階へ往って、燈を点けてくれないか」

「どうしたと云うの、燈は点けてあげるが、おかしいじゃないの」

「べつになんでもないのだ、ただ暗いのが厭だから」

「そう、じゃ点けてあげよう」老婆は気軽く起きて、「まあ、まあ、おかしなことだ、尾形さんはどうしたと云うのだろう」と、云い云い障子を啓けて出て往った。

「ぜんたいどうしたのだ」

老人は政雄に何か事情がありそうなので、間貸をしている責任者としての不安を感じているらしかった。