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Japanische Klassiker mit Furigana

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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

「お客さんだよ」

左側の料理場らしい処から男の声がすると小柄な婢が出て来たが、あがる拍子にみると、左の眼がちょと潤んだようになっていた。秀夫は婢に跟いて狭い廊下をちょと往くと、行詰の左側に引立てになった襖の半開きになった室があった。婢は秀夫をその中へ案内した。秀夫は中へ入ってからその室がむこうから右側に見える昨夜の室だと云うことをすぐ悟った。

そこには足の低い食卓が置いてあった。秀夫は昨夜客のいた処はここであったなと思いながら艫を背にしてすわった。そのうちに女は引かえして往って火鉢を持って来た。

「なにあがります、牡蠣あがりまっか」

来る時に男の頭の見えていた隣の室では男と女の笑う声がしていた。秀夫はあのな婢は隣にでもいるだろうかと思いながら、

「西洋料理は出来ませんか」

彼はまごまごしていて田舎者と笑われないようにと、西洋料理へ往ったときに朋友の云った詞をそのまま用いて料理を二皿とビールを註文すると、婢が出て往ったので、昨夜※(「女+朱」、第3水準1-15-80)な婢の坐っていたと思われる処を見て、ここの婢もやはり受持ちがあって、その客の帰らないうちは他の座敷へは往かないだろうか、旨くあの婢が来てくれると良いがなどと思っていると、跫音がして婢が入って来た。