Japanische Klassiker mit Furigana
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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme
老婆の顔もあった。賤しい醜い年増女の顔もあった。頭のぐるりを剃ってぼんのくぼの髪の毛ばかり残っている少年の顔もあった。僧侶らしい顔もあった。皆の顔は苦痛のために、眼は引釣り、口は歪み、唇や頬には血が附いていた。そこからは嵐のような呻吟と叫喚が漏れていた。洛中洛外の人びとが集まって来て、見せ物か何かのようにそれを見物していた。
見物人の一人は、直ぐ眼の前の人俵のうめきの中に、かすれた男の声を聞いて、どの顔の主からそれが出ているかを確めにかかった。それは下積になった商人らしい男の口からであった。
「ありがたいことじゃ、ないないかような大難に逢うて、天主様の御救けに与り、天国へ生れて、安楽な活計に、ひもじい目にも逢わず、瓔珞をさげていたいと願うていたところじゃ、早う打ち殺して、天国へやってくだされ」
「せんす、まる、まる」
「天国、天国」
「後生は見て来んことじゃから、それはおってのこと、こうひもじゅうては、眼が舞いそうじゃ、そのうえ、この間中の談議ごとに、大難に逢うときは、百味の御食をくだされて、天の上へ引きあげてくだされるとのことじゃったが、この大難に煎餅一枚もくだされないとは何事じゃ」