Japanische Klassiker mit Furigana
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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme
※(ローマ数字3、1-13-23)
憲一の心はその方へ往った。その時女の何か云う声がした。
「おまえも、あちらへ往ってらっしゃい」
すると彼の少女がひらひらと起って往った。
「二人っきりでゆっくりいたしましょう」
憲一はその声に気が注いて女を見た。酒にほてった女の顔はいっそう美しかった。
「もすこしめしあがれ」
憲一はもう遠慮がなかった。憲一はすすめられるままに酒を飲み、肴を喫った。そのうちに女は憲一の傍へ来て腰をかけた。
「めしあがれ」
女は己の盃を執って憲一の口へ持って往った。憲一は微笑しながら一口飲んで女を見た。女のうるおいのある眼がじっとこちらを見ていた。女はその時憲一の口へやっていた盃を己の口へ持って往った。
女の左手はいつのまにか憲一の肩に来ていた。憲一はうっとりとなっていた。
※(ローマ数字3、1-13-23)
夢のような幸福がつづいた。三日目の朝になって、憲一はふと旅館のことを思いだした。
「ちょっと往って、荷物を持って来ます」
女は淋しそうな顔をしていた。
「そんなことを云って、もういらっしゃらないつもりでしょう」
「そ、そんなことは」
「私は貴郎とお別れしては」
女はもう眼に涙を溜めていた。