Japanische Klassiker mit Furigana
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まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Lesen Sie 松のや露八 (まつのやろはち) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.597 Zeichen · 253 Bildschirme
五
「ウーム」
呻いたきり、呆れた顔をして、八十三郎の冴えた横顔を見まもっていた。
五
「ご心配をなさらぬように」
八十三郎は、何気ない時にする、いつもの白い歯を見せて云った。
「父上も、叔父御も、ご老体、お達者にお暮らしください。云い開きが立てば八十三郎もすぐ免されて帰って来ます。……では、行って参ります」
頭を下げると、小倉庵は、ぴしっと、彼の二の腕を、ねじ折って、縄をかけた。
鉄之丞は、役人の感情をそこねては、かえって、八十三郎のために悪かろうと思って、半蔵にも、そっと、注意した。
「琵琶橋までの坂道が暗うござる。ただ今、提灯をとぼしますゆえ、暫時――」
「それには及ばん」
鈴木は、断わったが、
「いや、ただ今すぐ」
と、鉄之丞が、あたふた、弓張提灯を灯けて、引っ立てられて行く縄附の側についた。役人への厚意というよりは、せめて、江戸川あたりまで、見送ってやろうという八十三郎への心やりであることはもちろんだった。
外へ出ると、屋敷のまわりに、捕手たちが四、五人ずつかたまって待っていた。黙々と黒い列が葬式のように藪と藪の間の狭いだらだら坂を降りて行く――。半蔵と鉄之丞とは、喪主のように俯向いて歩いた。