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Japanische Klassiker mit Furigana

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まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

Lesen Sie 松のや露八 (まつのやろはち) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.597 Zeichen · 253 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「いったいに、幼少から、八十三郎めの病弱で気の強いのとは反対に、喜怒哀楽をあらわさぬ奴での。変わっておったよ」

野呂間な姿までが、にわかによく見えてきて、半蔵は、自慢らしく云った。

その庄次郎の顔が、やがて、ぬうと襖を開けて、

「父上。――ありません」

「皆伝の目録や巻がない?」

「ハ……。たしかに、小風呂敷に包んで、机の上に、おいたはずですが」

「では、あろうが」

「それが、いくら見ても――」

「どうした理じゃ」

「猫が引いて行ったのかも知れません」

二

「ははは」

笑い転けたが――すぐ真面目に心配しだして、

「よく考えろ。忘れたのではないか、どこぞへ」

「さあ?」

庄次郎は、襖の外へ、顔をかくして、尻だけを見せていた。

「忘れたのであろうが」

「……はあ」

「はあ、じゃない、大事な品、いかがいたした」

「やっぱり、忘れたのだ」

「どこへ」

「じつは……昨日……」

云い渋ると、鉄之丞が、救ってやるように、

「祝いに、飲み歩いたというではないか。その際、友達の手へ、預けでもしたか」

「あ、そうだ。左様でございました。道場から帰り際に、渋沢栄一殿が、落とすといかぬと注意してくれましたので――」