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Japanische Klassiker mit Furigana

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まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

Lesen Sie 松のや露八 (まつのやろはち) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.597 Zeichen · 253 Bildschirme

Aozora Bunko

だが、おらあ彰義隊くずれの逆臣だ。また賤しい幇間だ。弟のつらよごしをしてはいけねえと、じっと会いてえのを抑えていたんだ。――いや、俺から足を運ばなくっても、来るだろうと待っていたんだ。俺は、兄だっ、兄だぞっ」

「すみません。ご気色をなおして下さい。改めて、明日、お詫びに出ます」

「来なくってもいい。俺の家は吉原という白粉の街だ。てめえのような聖人君子は、足ぶみするな……もし過って、てめえが、俺のような蹴躓きをしてみやがれ、気の毒だが幇間もできやしねえ!」

ぴしゃっと襖の音が八十三郎の顔へ風を残した。もう露八はそこにいなかったのである。どん、どん、どんと裏梯子の跫音が階下へあらく消える。

「お辰どん、すまないが、ここをちょっと貸しておくんなさい」

女中部屋の次の蒲団部屋へ、露八は、かくれこんだ。そして、窓の障子を開けるのも間にあわないように、首を外へ出した。すぐその下は大川の水だった。二本の指を口へいれて、苦しそうに酒を嘔吐している。いつも、顔へ顔が映ると笑われている彼の頬も、艶気がなく、真っ蒼であった。

三

胸のつかえがさっぱりとすいて、毛穴が寒々とよだって、頭のしんが、しいんと空虚に痛む。