Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Lesen Sie 松のや露八 (まつのやろはち) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.597 Zeichen · 253 Bildschirme
白い裸足
一
(この女は、間違って、俺の所へ嫁たのだ)
そんな気持が、努力だけでは、取り除けないのであった。
(兄は、このごろ、少しどうかしているぞ)
書斎から眺めている八十三郎には、少し感づきかけて苦い顔をしている父、そっと涙を拭いた後の兄嫁の瞼、これで土肥安泰とひとりでめでたがっている楽天家の叔父――それらの人々の顔つきが、冷静に、見較べられた。
「このままでは済まんな。この古い家のしんとした空気は、暴風雨のくる前駆に似ている。……それもよかろう、土肥家の根太も古すぎた。幕府の御家人なら親木と一緒に腐るのが当然だし、暴風雨は、やがて、一軒の家ばかりでなく、地上のあらゆる古いものを吹き倒壊す雲行きをしている。……俺は勉強しよう。次の時代に生きる支度をしよう」
幕士には禁制の蘭書を机の下へかくして、父の眼をぬすんでは読み耽っている八十三郎だった。
白い裸足
一
近々にご拝眉――と手紙をよこした渋沢栄一は、それから、消息がなく、半年目の翌年三月ごろになって、庄次郎の留守中、屋敷に訪ねて来たということを、彼は、弟からも妻からも聞いた。
「いよいよ、あの借りた財布へ、四十両入れて、返さなければならぬ」