Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

Lesen Sie 松のや露八 (まつのやろはち) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.597 Zeichen · 253 Bildschirme

Aozora Bunko

「じゃあ、あたし、一人で行く。お小遣い、まだある?」

「あるよ」

財布ぐるみ渡して、

「これだけだ」

お蔦は中を見て、

「もう一つの財布にあるお金は」

「あれは、渋沢栄一へ返す金。お前、出かけるならついでに、届けてくれ。気がかりで、たまらない」

「そんなもの、返すこと、ありゃしない」

「いや、あの吝ン坊が、意気で貸してくれた金だ。人間、意気には感じる。手紙を書こうか」

お蔦は、帯に入れて、出て行った。晩には、帰るものと、庄次郎は、白玉の団子と、西瓜を、井戸水に冷やして、夕飯もひかえて待っていた。

だが、お蔦は、朝になっても帰らないし、次の日も、姿を見せない。

「どうしたのだろう? 榊原に見つかって、また、家へ連れて行かれたかな?」

三囲の土手に立って、ぼんやり腕を拱んでいた。何となく、不安が胸へ潮のようにさしてくる。

(あいつ、浮気者だからなあ……)

沢村田之助の似顔を持っていたり、撥ふくさや、櫛笄にも、田之助の紋をつけちらしていたことが、急に、思い当たってきた。――金は持って出たし。

「畜生……」

大川を、睨んでいると、涙が出てきた。幾度も、竹屋から渡舟が着く――。