Japanische Klassiker mit Furigana
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えいじつしょうひん
永日小品
Lesen Sie 永日小品 (えいじつしょうひん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.000 Zeichen · 100 Bildschirme
今度持って来て御覧に入れましょうと云った。青年はそれぎり来なくなった。
すると春が過ぎて、夏になって、この青年の事もいつか忘れるようになった或日、――その日は日に遠い座敷の真中に、単衣を唯一枚つけて、じっと書見をしていてさえ堪えがたいほどに暑かった。――彼れは突然やって来た。
相変らず例の派出な袴を穿いて、蒼白い額ににじんだ汗をこくめいに手拭で拭いている。少し瘠せたようだ。はなはだ申し兼ねたが金を二十円貸して下さいという。実は友人が急病に罹ったから、さっそく病院へ入れたのだが、差し当り困るのは金で、いろいろ奔走もして見たが、ちょっとできない。やむをえず上がった。と説明した。
自分は書見をやめて、青年の顔をじっと見た。彼は例のごとく両手を膝の上に正しく置いたまま、どうぞと低い声で云った。あなたの友人の家はそれほど貧しいのかと聞き返したら、いやそうではない、ただ遠方で急の間に合わないから御願をする、二週間経てば、国から届くはずだからその時はすぐと御返しするという答である。自分は金の調達を引き受けた。その時彼れは風呂敷包の中から一幅の懸物を取り出して、これがせんだって御話をした崋山の軸ですと云って、紙表装の半切ものを展べて見せた。