Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうですか、それなら早く親分にも話せばよかった。実は、馬春堂の家へ三、四度寄って見るたびに、いつもあの娘が寝ているんで、変に思っておりましたんで……」

「そこで何か喋舌ったのだろう。……それでなければお蝶がおれの居所を知って来るはずがない」

率八はドギマギしながら頭を掻いて、

「つい、口を辷らしまして、親分とは言いませんが、その……家に客が居るッていう事を話したもんですから」

「まあいいよ、口止めされても、つい喋舌ってしまうところが、おめえの値打ちのあるところだ」

「お人好しの率八でございますからね」

「そのお人好しの家へ厄介になって、おめえに質草まで入れさせているのは済まない話だが、いずれそのうちには、たんまりと恩返しに儲けさせるから、どうか暫く辛抱してくれ」

「ど、どう致しまして、親分に恩返しなんかして貰う覚えはありません。あっしの方こそ、以前の御恩があると思えばこそ、及ばずながら、こうしているんでございますもの」

「てめえの心持ちはよく分っている。だから、何かいい機があったら、生涯食えるだけの金を持たせて、おれと結んだ悪い渡世の縁を切ってやりたいと考えているのだ。