Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
――と馬春堂に伊兵衛。
部屋の入口にはってあった奇妙な札へ、かたみ代りの批評をいって、そのままトントントンと裏梯子から風呂場へ降り、ぬぐとすぐに飛びこんで、
「アーいい湯だ」
二ツの首を浮かせました。
伊兵衛はスジ文身のある二の腕をゴシゴシこすりながら、
「この間、獄門橋でわかれた時から、とうとう湯にも這入らずさ」
「また切支丹屋敷の道草があり過ぎたんだろう。そうとは知らず、こッちは正直に座敷をとって、あの晩も夜半まで首を長くしてまっていたろうじゃないか」
「そうだろうたあ思ったが、おれも実はひどい目にあって、どうしてもここへ帰ることができなかったんだ」
「ふーむ、すると、山屋敷の役人にでもとッ捕まって、逃げて来たのか」
「なに、そうでもねえが……」
伊兵衛は湯気の立った体をザブリと上げて、小桶をふせて腰かけながら、湯槽の縁へよっかかりました。
馬春堂も上がって、グンニャリと膝をかかえこむ。
「――で、あれからの吉左右はどうしたんだ」
「飛んでもねえ邪魔物がいて、大不首尾よ」
「邪魔者というと?」
「知れてるじゃねえか、夜光の短刀の相手方、日本左衛門と一まきの奴らだ」