Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
と、伊兵衛は話しかけて、あたりに鋭い気をくばりましたが、湯気出しの小窓に積んである風呂桶の隙間から、ほの明るい夕空と白い星が一ツ見えるのみで、しめ切ってある水戸の外にも、格別、かれの神経を要する気配はないあんばいです。
で――安心して、それからスラスラとしゃべり出すことには。
「おめえと別れて、あれから切支丹屋敷の高塀を越え、中の様子をのでいていると、いきなりおれの小鬢へ、石をぶつけたやつがある。あッと思って、中へ飛びこんだが、別にたれも来る様子もねえから、夜ふけをまって這出すと、どうだろう、いたる所に黒衣を着たやつがもぐっていて、おれが行く方、行く方へと、影になって付きまとって来る。こいつはいけねえと、その晩は足を抜いて、翌晩出直してみると矢っ張りそれだ。そりゃいいが今度は、山屋敷の外へ出てまで、おれのあとを黒衣の影がつけてくるので、このまま筑波屋へ帰っちゃ工合がわるいと考えたから、きょうは一日用もねえ所を歩き廻って、そいつをまいて帰ってきたわけだが……馬春堂、おらどうも忌々しくッてたまらねえ」
「すると、そいつはみんな、日本左衛門の手下なんだな」