Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
馬春堂は喜連格子の中へ首をつッこんで、
「ここに賽銭箱みたいなものが、こいつを動かして、その床下へ隠しこんでおいたら、たれも気がつくものはありはしまい」
「だが、動くか、そいつが」
「おそろしく頑丈だが、二人がかりならどうにかなりそうだ」
「しかし考えてみると、こんな所に隠しておくのも不安心だ」
「といって、その振分へ入れてかついで廻っていると、万太郎だの金吾だの、悪くすりゃ釘勘なんて奴に、いつどこで出ッくわすか分ったものじゃない。まあここらへ隠しておけば無難なものだよ」
何しろ自分に大事よりは、人手に渡したくない性質の物なので、伊兵衛も暫くは迷いましたが、大事なだけに、これを持って歩いていることが、どれほど、苦労だったか分らないことを思うと、
「じゃ、人の来ねえうちに」
と、腹をきめて、
「馬春堂、手を貸すぜ」
「ウム、押してくれ」
二人がかりで賽銭箱をズラしました。
馬春堂はすぐその下の床板をさぐって、
「おや」
「なんだ? ……」
「お誂らえだぜ、面倒なく、床板が刳り抜いてある」
「そうか、じゃまってくれ、湿気をくわねえように、今すっかりあいつを桐油紙でくるむから」