Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

かれは今さら自分に親の資格を疑い、ただ子煩悩というだけに盲愛してきた罪を悔い悩んでいましたが、また、こうした父を裏切ったお蝶の心が、時々、暴風のようにいきどおろしくなって、いッそ! ……と怖ろしい殺意さえ起って来ます。

だが……。

だが、と思うと、かれは意気地なく涙がわきます。

――あれもふびんな女にはちがいない。

世間なみの家と親の手で育てられた箱入娘とはちがう。周囲もちがう。自由もちがう。おれという者の因果を、もッと大きく、永い生涯へ、美しい女の身にうけて生れた、ころびばてれんの娘!

ことに、お蝶の母親が、淫奔な囚徒の後家さんであったことも、今となって、二官に慄然とする因果を想わせて来ます。

自分は生きるために屈服して、ころびばてれんの汚名にも甘んじていたが、幕府から与えられた囚徒の後家を妻にもって、その間に、お蝶という遺伝の結合が生れて、老い先にまでこの愛憎の苦しみを延長して来たのは、やはり、神にそむいた神の罰か。

――こう考えると、たまりません。

お蝶の行状をいきどおる前に、二官は、おのれの身を責めさいなんで、血を吐かせてもあき足らなく思う。