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Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

けれど、そのかわりに、病以上の憂悶がこんどは金吾の心核に食い入ッて、かれを苦しめていることもまた見のがせません。

それは、こうしている宿屋住居の二人の生活が、前とだいぶ変って他人行儀がとれ、それでいて、許し合った情人というほど密でもなく、夫婦ともつかず、お互いにどうにもならない運命の部屋に閉じこめられているような状態から見ても、その後、お粂と金吾の仲に思いがけない――もう切るにも切れないものが生じて、悪縁の鎖を結んでしまッたことが明らかであります。

お粂の熱情にほだされたにせよ、金吾のためにこの一事は、実に終生の不覚というべきでありますが、一頃のように、彼が昏々と眠りから眠りへ落ちている間ならば、妖婦の抱擁もこばむ力がなかったわけですから、一概に彼の心事を責めるのもどうでしょうか。

しかし、お粂にとれば、これで思いが遂げられたわけです。

お粂は陰性の妖婦とみえます、これが陽性の毒婦型の女だったら、こんな遠廻しな、手数のかかることはしていないでしょう。また、いかなる男も、お粂のような手段をもってされては、その術中に墜ちないではいられますまい。

ですが不自然に結ばれた、二人の間というものは、その成長につれ、その変態な苦しみが、当然ふたりへ公平に分けられてくる。