Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

一枚のうんすん加留多の札を、月江が抱きこんでいると次郎がそれを奪おうとしてゆずりません。読み手のおりんは面白がッて、キャッキャッと笑いながら口から読み札をこぼしている。

「あッ、やぶけた」

「次郎、おまえは」

「知らねえ知らねえ、お嬢様のせいだ」

「意地わる!」

「ほーら、負けたんで口惜しがッてら」

「おまえの負けよ」

「お嬢様の負けだい」

「どうして」

「どうしてでも」

「りんが証人だよ、ねえ、りんや」

「おりんさんが知ッてら、ねえ、おりんさん」

「憎らしい。ひとの口真似をして」

「憎らしい。ひとの口真似をして」

「あら」

「あら」

「ホ、ホ、ホ」

「オホ、ホ」

「猿!」

と、月江がそこらの札をかき集めて、笑いながら相手の顔へぶつけたので、次郎はクシャンと参ッてしまいましたが、座敷はいちめん加留多の落花、春の夜らしく散らかりました。

と、次の間の障子があいて、

「ごめん遊ばせ」

宿の女中の声がしています。

そんな事には気がつかないで、笑いさざめいている三人は、加留多をよせ集めると次には遊戯の趣向をかえて、座敷の中程に緋の毛氈をのべ、古雅な蒔絵の枕を置きました。

枕の上には銀の水引で蝶形の的をすえ、席をさだめて扇を持つ。