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Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

何か、絵図面らしいものをひろげて、額を寄せていた日本左衛門と金右衛門は、九兵衛が這入ッて来ると、それを二ツに折ってうしろへかくし、

「いや、退屈どころじゃねえ。いろいろなやつが店へ出入りするので、おめえこそ、人知れない気苦労だろうが、まあ、もうしばらくゆるしてくれ」

「そんな事はどうでもいいが、兄貴、おれは少し気にくわない一件がある」

「なんだ?」

と、金右衛門は苦ッぽく尖りました。

「水くさいと思うのさ」

九兵衛はジロリと彼のうしろにある紙片を見ながら、

「こうして、二人の身状を預かっている以上、たとえ、どんな事があっても、仲間を裏切るような真似はしないつもりだが、この間から見ていれば、何か、おれには秘しかくしにして、外とつなぎを取っている様子、どういう方寸か知らないが、この秦野屋の奥を帳場に構えて、仕事の算盤をハジキながら、この九兵衛に、ふッつりとも打ち明けてくれねえのは面白くない」

「もっともだ」

日本左衛門はうなずいて、

「実はそれについちゃ、この間から、話した方がいいか、話さぬ方がおめえの為か、おれも、迷っていたところなのだが……、そういうならば恰度いい折、九兵衛、念のためにそこらを……」