Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
と、権太夫はどこまでも、この貴賓の気を損なわぬことが、お家の為と心得ている。
いやだの、有難くないのと、さんざん駄々をこねた万太郎も、結局、権太夫の役儀大切に根負けして、
「じゃ、行ってやろうか」
と、渋々、迎えの駕に乗りました。
知らぬ他領の城下へ来て、こうもてるのも、いわば七男坊にまで及ぶ親の光。
供揃いが出来る。駕が上がる。次郎は妙なことになったと思いながら、例の胆刺を杖について行列の一番あとから尾いてゆく。
すると、歩み出す間もなく、
「もし、小僧さん」
ひとりの男が、小川玄堂の門前から引っ返して来て、
「もしやおめえは、高麗村の次郎というものじゃないかね?」
呼びとめた男は、藍みじんの粋な単衣に角帯をしめ、油じみた桐箱を手にさげて、まげの先に一本の鬢掻きを挿していました。
次郎の目にも一見して、それは髪結の男とわかりましたが、
「おいらかい?」
いぶかしそうな顔をすると、
「次郎というんだろう、お前さんは」
「あ、おれは高麗村の次郎だけれど、何か用かね」
「御城下の盛り場に唐人小路というところがある。そこで明日から小屋開きになる曲独楽の嵐粂吉という太夫さんから言伝って来たんだが……」