Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「物には順序がござりましょう、まず、次郎の失態はあの仮面で、仮面が返らぬうちは、おそらく御隠家様も、彼の勘当をお許しにはなりますまいし、次郎もおめおめ姿を見せますまい」
月江は、不意に、元の馬の鞍へ飛び乗って、
「久米之丞や、私も、一緒にそこへ行って見ましょう」
突然なので、彼もあわてながら、
「え、八王子へ」
「次郎の為になることだもの、不親切なお前にまかせておいては心許ない」
「ひどいことを仰っしゃる!」
「案内をしておくれ!」
ピシッと萩の鞭が鵈る。
と、同時に、黒髪と両の袖が風に浮いてうしろへ靡く。
驚いたのは久米之丞です。案内をしろといっても、一方は逸足の駒、こっちは徒歩、
「月江様! 月江様! もしお嬢様」
手を振りながら馬上の人を追って、汗みどろに炎天の立川の河原まで引きずられて行くのでした。
灯ともし頃の八王子の町を、下げ髪の美女が銀毛の駒に乗り、その供として野袴の屈強な侍が付いて歩く奇観に、往来の目が振顧ります。
しかもその駒が、千人町の田野平という、質屋の門口についたから人目をひく。
まさか妙齢の処女が、馬に乗って質入れにも来まいに、一体なんだろうと立ち止まる者を残して、乗りすてた駒を塗籠の柵に繋ぎ、美女と侍は暖簾口から戸のなかに消え込みました。