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Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「誰だろう?」

お蝶の神経は研げて来ました。そして、先刻の、沢からオ――イと呼んだ声が、ふたたび耳によみがえってくる。

とこうするまに、いよいよ荒くれな男どもの声が、すぐその辺まで近寄って来たので、彼女は腹をすえて、白麻の布を被ったまま、パラパラ、身に降る松のしずくを浴びて、じッとそのままうつ向き込んでしまいました。

「おう、居たぜ」

と、うしろの仲間を誘いながら、のッそりと、そこに立ったのは最前の立場人足。

胸毛をザラザラさせた大の男が三人、いやしげな笑みを交わしながら、堂の廂の下に、一個の春日人形を腰かけさせたような、お蝶の姿を見とれていましたが、

「おい、娘さん――」

そのうちに中の一人が猫なで声で、

「さっきからおれ達が、あんなに呼んでいるのに、聞こえなかったかい?」

と、三方から、薄気味わるく寄って来ました。

――お蝶は頭から白麻の布を被衣にしたまま、何を問われても、返辞をせず、顔を上げず、手出しをされれば最後のこと、それまではどうする気か、じっとしていて見ようと決心していました。

で――餌食と見たら、一つかみの勢いだった好色の狼どもも、お蝶が顔もあげないで落着き澄ましているさまに、何となく側へ寄りかねて、遠巻きの恰好に腰をかがめ、