Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
で、自然と受身になりながら、
「人違いであろう、拙者は武蔵野の郷士関久米之丞というもの、刀を引かッしゃい! 話があれば承ろう」
と、言い訳に似たことばを続けざまに叫んでいましたが、事面倒と思ったか、今まで手ぶらで眺めていた相手の連れらしい編笠の男が、ツツと、彼のうしろへ廻って行ったかと思うと、
「やかましいッ」
刮然たる柄の音、――と共に関久米之丞は肩から袈裟がけに斬り下げられて、そこへどッと倒れるなり、青天井をにらんで空をつかみました。
斬った男は、いつのまにか、岩の根に腰をおろして、両手に頬杖をかいながら、迸る血の中に痙攣する死骸を冷然とながめている。
「――可哀そうなことをしたな、折角、いい夢を見ていたのに」
相手に立った一方の者が、こんな事をつぶやきながら、死骸を谷間へ蹴落とそうとすると、
「あ――待ちねえ」
ふたたび編笠が腰を立って、
「念の為だ……」
と、前後を見ながら顎をすくう。
「ウ、なるほど」
頷いて、そこに、しゃがみ込んだのは先生金右衛門です。彼が死骸のふところをしきりと探っている間に、日本左衛門は彼方此方を、涼しい顔で歩いていました。