Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
で……ござんすもの、どうしてお前さん、夜稼ぎなんか働いているひまがあるものじゃございません」
九兵衛はせせら笑って、
「それこそ弘法様が臍で茶をわかすだろう。なんでてめえや法達が悪事の足を洗っているものか。……だがお互い様のこった、そんな詮議立てはやめとして、時に、てめえ今夜はどこへ行ったんだ」
「あっしですか」
「そうよ」
九兵衛の眼ざしに、寺男の八助はまごついて、生酔の首を振りうごかしながら、
「このとおり、ちょっと馴染みの家へ、飲みに行った帰りなんで」
「ばかをいえ。法達の話じゃ、使いに行ったということじゃねえか」と、少し声をとがらせましたが、急に顔をやわらげて、幾らかの金を八助に握らせながら、
「こりゃ今度、おれが甲府へ来た手土産のかわりだよ、すくねえが納めておいてくれ」
「ご冗談でしょう、厚木の親分、こんなものを頂戴しちゃあ……」
「まあいいから取っておきねえ。ところで、というとおめえを見くびって、金で口を開かせるようだが、今夜の使い先は何処なのか、おれにだけ、ちょっと耳打ちをしてくれねえか」
「実は、その、江戸の親分のお使いでしてね」
「だからよ、そいつはおれにも分っているのさ」