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Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「日本左衛門待てッ」

と鋭く呼び止めました。

内陣からおどり出して、待てと、自分の前に立ちふさがった侍、日本左衛門は、それも捕手役人のひとりかと思いましたが、意外です。相良金吾でありました。

こんな際また、この、場所へ、金吾が姿を見せたことは、彼にとっては尠なからぬ驚きであったらしく、

「オオ」

と、跳び退いて、ひっさげた長船の反りを小脇に、

「金吾だな!」

という言下に、その体は、すでに自然な身構えを持しています。

待てといい、オオと答えたことだけで、もう双者は一髪を容れぬ対峙となって、かれの長船と金吾の了戒の一刀はなんどきでも、鞘を脱して敵の血を吸わんとする用意を怠っておりません。

金吾は、彼を広い本堂の中央へ誘うために、じりじりと身を移しながら、

「かねて、小仏の谷間で誓ったことばを――その時の広言をば、おのれ、よもや忘れてはおるまいな」

「ウム、それがどうした」

「日本左衛門!」

五体に力をみなぎらして金吾が叫びます。

「こよいこそ、おのれの一命を申しうけに来たぞ。卑怯に、逃げかくれをいたすなよ」

「性懲りもなくまたやッて来たか。して、約束の貴様の名分はどう立てる?」