Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「ちッ。面倒な」

雲霧は目ですくって、

「おい四ツ目屋、酒代をくれてけえしてしまうがいいじゃねえか」

「だって」

「秩父の町へ行きゃあ、どうかなるさ」

「その町まで、まだどのくらいあるかもわからねえのに」

「お蝶だって、観念している、何も、あとの道ぐらいは自分で歩くだろう。どっちみち、ふた心のあるやつを連れてあるくのは、あとあとの為にもならねえことだ」

それも一理ある言葉ですから、新助は我を折って、四人のかごかきに相当な賃銀を与え、かれらの望みどおり、そこで放してやることにしました。

秦野屋は可とも否ともいわず、きせるをくわえて、帰って行くかごかきの影を見送っている。

かれのそばへ、かごを降ろされたお蝶が足を休めました。お蝶の目が、何か九兵衛に話しかけたいようにうごくのを、彼は気のつかない顔をして、ぷッと、たばこの火玉をてのひらに吹きました。

そのお蝶の美しさは、漆掻き達に少なからぬ驚異だったとみえて、彼等は最前から、鳴りをしずめてマジマジと気をとられていましたが、そのうちに、

「旦那がたはよいけれど、あの、かご屋を帰しては、その女子が可哀そうだ。おまけに、栃の沢までゆかないと、泊る小屋がないところだのに」