Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「知らないわ」

「じゃ、年は幾ツ?」

「知らないわ」

「自分の年を知らない者があるもんか。ほんとにお前はあどけないところがある。だけれど、こういうことは知っているだろう」

炬燵の中で、お蝶の手を握りました。

お蝶はおかしさをこらえながら、死んだ父親とこの隠居との年齢を比較して考えていました。手を握られてもその手ざわりよりは、炬燵の火に温まった木の方が、どれ程お蝶の抱擁をそそるか知れません。

「いやよ、お爺さん」

指を弾いて、金玉糖をまた一ツ口に入れる。

「何がいやなことがあるものか。お前はまだきまりが悪いとみえる」

狒々の動作が初まりました。いきなり体へ抱きついて来たので、お蝶がきつく突き飛ばすと、舟の世帯は苫ぐるみ、ダブリと大きく揺れ返る。

「これ、舟が揺れるわ、じっとしておいで、じっとして……、怖いことも何もありはしない」

「嫌ッ……嫌ッ……。ええうるさいッ」

「わしはお角に二両渡してある」

「嫌だッてば、この人は!」

平手で狒々の横顔をなぐりました。

宗匠頭巾をハネ飛ばして、尻もちをついた好色隠居は、それがお蝶の羞恥ではなく明らかな憎悪の反抗だと知ったので、にわかにムッとなって飛びかかって来る。