Japanische Klassiker mit Furigana
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かいじょうのみち
海上の道
柳田 国男
Lesen Sie 海上の道 (かいじょうのみち) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 182.344 Zeichen · 353 Bildschirme
私の一ばん驚いたのは、沖縄の所管と謂っても本島からは西へ百里、八重山島群からは北々西へ六十里余、福建海岸へは二百里、最も近い久米赤島へも三十里という洋上の無人島、胡馬または久場という小島にも、やはり鼠が住んでいた。笹森儀助翁明治二十六年の『南島探験』に、ここから戻ってきた花本某という若者と、那覇で会談したことが載せてある。人に騙されて海鳥の羽毛を採りに行ったのだったが、食料のために藷を栽えてみたけれども、たちまち鼠に喰い尽されて絶望したという話である。島は尖閣や釣魚台と一列に、ただ遠望の図だけは航海記に見えているが、いずれも絶壁に囲まれて船を寄せ難く、またそんな用事もないのだから、鼠の便船などはおおよそ想像しにくい。或いは稀々に流木などの上に乗って、腹に子をもった一匹の鼠が、漂着したというようなこともないとは言われないが、何もそんなにまで押しつめて考えてみなくとも、天地は広く、まだ人間の知らぬことは多い。もっと自然に近く、また何べんでも起こりそうな機会があったことを、是からあなた方が発見して行くのかもしれない。或いは世界のどこかの隅には、あの北満の川の鼠狩のように、ちゃんと知っている人があるのかもしれない。