Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かいじょうのみち

海上の道

柳田 国男

Lesen Sie 海上の道 (かいじょうのみち) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 182.344 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

八

椰子の実の流れ着くという浜辺は多かったはずであるが、是が島崎氏のいうような遊子によって、取り上げられる場合が少なかったかと思われる。昔はこの物を酒杯に造って、珍重する風習があり、それも大陸から伝わってきたように、多くの物知りには考えられていた。『倭名鈔』の海髑子の条などは、明らかに書巻の知識であって、もし酒中に毒あるときは、自ら割れ砕けて人を警戒するとあり、まだどういう樹の果実なりとも知らず、何か海中の産物のごとくにも想像せられていたようであるが、なお夜之という単語だけは、すでに和名として帰化している。京人の知識は昔も今のごとく、むしろ文字を媒として外国の文化に親しみ、久しく眼前の事実を看過して、ただいたずらに遠来の記録の、必ずしも正確豊富でないものを捜索していたことは、独り椰子の実だけの経験ではなかった。この頃やっとその習癖に気がついたと、言いたいところだが、それもまだ少し怪しい。

八

日本の海端に、ココ椰子の実が流れ着くということは、決して千年ばかりの新らしい歴史ではなかったはずであるが、書物で海外の知識を学び取ろうとした者は、かえって永い間それを知らずにいた。