Japanische Klassiker mit Furigana
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かいじょうのみち
海上の道
柳田 国男
Lesen Sie 海上の道 (かいじょうのみち) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 182.344 Zeichen · 353 Bildschirme
一三
もしも仙薬を採って直ぐに還ってくる航海だったら、そんな手足纏いを同船する必要は少しもなく、同時に他意あることを疑われもしたであろう。それを堂々とあの大一行をもって出征したというのは、是も後世の開発団のように、行ってその土地に根を張ろうという本式の移民事業か、少なくともそういうふれこみをもって、親々を承知させたものと、世間では解していたのであろう。三千年に一度実を結ぶ桃という話もある。仙薬は決して夢の山のダイヤモンドのように、熊手で掻き集めて背負ってこられるものでなく、やはり育てて収穫して調製し加工して、後から後からと献上してくるものと予定せられ、昔の人は気が永いからそれを際限もなく待っていたのかと思う。
一三
地理の知識の少しでも確実でなかった時代には、人の移動には大か小か、必ず漂着の分子を伴のうていたことは、陸上の道とても変りはないが、そういう中でも海には予想せられる危険が色々とあった。岸に立ちもしくは些しばかり沖に出て、ただちに望み得る隣の島でもないかぎり、人が目標も無しに渡航を計画したということは、有り得ない話である。日本人の起原を説いてみようとせられる学者がたが、今日まだ些しでもこの点を考えようとせられぬのは、第一に私には不審である。