Japanische Klassiker mit Furigana
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かいじょうのみち
海上の道
柳田 国男
Lesen Sie 海上の道 (かいじょうのみち) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 182.344 Zeichen · 353 Bildschirme
四
四
日本では六十年目に一度ずつ、地竹に花が咲き実を結ぶと言われている。竹の実は自然穀、またはジネゴという名もあって、少しは人も採って食べるが、大部分は野山の生物に委ねられる。鼠は一年に五、六度も子を産み、その子が数カ月でまた親になるから、竹に実のなる年はたちまち繁殖するが、米麦とちがって次の収穫がつづかず、活きて行けない状態がすぐに遣ってくるのである。以前『昔話と文学』という書物の中に、チュウドンブリという昔話を一つ載せて置いたが、薩摩の国の鼠たちと、長崎の港の鼠たちとが、互いに相手の国の様子をしらず、もしかあちらに行ったらまだ食いものが有ろうかと、大きな船を仕立てて海に乗り出したという風に、この昔話では語られている。それがちょうど肥後と天草島との間、鼠の隠れ里の沖あたりで行き合い、船をとどめて互いに行く先の様子を尋ね、向うにも食べる物がちっとも無いと聴いて、泣きながら一匹ずつ海に入ってしまうという話であった。是は勿論おどけ話だけれども、こんな奇抜な趣向は空には浮ばなかったろう。やはり鼠が欠乏に駆り立てられて、海に出て行くことだけはこの辺の人が知っていたので、こんな話も生まれたかと私は考える。