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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme

Aozora Bunko

間近で見ても間違いもなく品川四郎である。だが、彼はとぼけた顔をして、俄かには返事をしなかった。

「オイ、どうしたんだ。見世物見物かね」

愛之助はもう一度言葉をかけた。

ところが、品川の方では、やっぱりキョロンとして、解せぬ顔をしている。そして、変なことを云い出すのだ。

「あなたは誰です。今品川とかおっしゃった様ですが、僕はそんな者じゃありませんよ」

愛之助はポカンとしてしまった。

その隙に相手は、

「人違いでしょう。失礼」

と捨ぜりふで、ドンドン向うへ行ってしまった。

青木は、「やっぱり俺は夢を見ているのか」と思った程、びっくりした。生れて初めての不思議な経験だった。

断じて人違いではない。あれ程長い間尾行したんだから、よく似た別人なら、気がつく筈である。と同時に、彼が品川四郎その人でないことも、当人がキッパリ云い切ったのだから、これ程確かなことはない。変だ。

愛之助はこの奇妙な出来事に、何だか胸が、ドキドキして来た。

「そうだ。あの石垣を調べて見よう。何か分るかも知れない」

猟奇者は、彼の日頃熱望する猟奇の世界へ、今や一歩を踏み入れた訳である。

急いで元の遠眼鏡屋のうしろへ戻って、人に見られぬ様に注意しながら、石垣の石を、あれこれと動かして見た。