Japanische Klassiker mit Furigana
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すさのおのみこと
素戔嗚尊
Lesen Sie 素戔嗚尊 (すさのおのみこと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.917 Zeichen · 86 Bildschirme
その時彼の眼は思いがけなく、水を浴びている××××××黒い獣が動いているのを見た。××××××××××××××××××××××××××××××。彼はすぐに腰の剣を抜いて、一刺しに犬を刺そうとした。が、女たちはいずれも犬をかばって、自由に剣を揮わせなかった。その暇に犬は水を垂らしながら、瀑壺の外へ躍り上って、洞穴の方へ逃げて行ってしまった。
それ以来夜毎の酒盛りにも、十六人の女たちが、一生懸命に奪い合うのは、素戔嗚ではなくて、黒犬であった。彼は酒に中りながら、洞穴の奥に蹲って、一夜中酔泣きの涙を落していた。彼の心は犬に対する、燃えるような嫉妬で一ぱいであった。が、その嫉妬の浅間しさなどは、寸毫も念頭には上らなかった。
ある夜彼がまた洞穴の奥に、泣き顔を両手へ埋めていると、突然誰かが忍びよって、両手に彼を抱きながら艶めかしい言葉を囁いた。彼は意外な眼を挙げて、油火には遠い薄暗がりに、じっと相手の顔を透かして見た。と同時に怒声を発して、いきなり相手を突き放した。相手は一たまりもなく床に倒れて、苦しそうな呻吟の声を洩らした。――それはあの腰も碌に立たない、猿のような老婆の声であった。