Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.866 Zeichen · 318 Bildschirme
石川良右衛門は苗字帯刀を許された大町人で、五十前後の立派な仁体、これは武家の出だということで、進退動作なんとなく節度にかなっております。
外には死んだ五兵衛の妾お絹と下女のお百だけ。お絹は商売人上がりの三十女で、愛嬌がボタボタこぼれそうな豊艶な女。それが大芝居で悲歎場を見せるのは、身内の人達の大きな悩みでした。
「銭形の親分さん、有難う存じます。親分がお出で下すったんで、どんなに心丈夫だか判りません。――お店の皆さん方は仏様を今にも御徒士町へ運んで行くとおっしゃるんですけれども、それじゃ私が可哀想じゃございませんか。ここで亡くなったのも、何かの約束事で、ね親分さん、そんなもんじゃございませんか。どうぞあの、ここから葬式を出すように、親分さんからおっしゃって下さいませ、ね、親分さん」
そう言ううちにも、不謹慎な手が、平次の肩へ触ったり、手を取ったり、膝へ載ったりするといった質の女です。
「いいとも。――五兵衛の死骸は、下手人が解るまでここから運び出しちゃならねえ、解ったかい、皆の衆」
平次の言葉は唐突で効果的でした。
「下手人?」
誰よりも驚いたのは、番頭の宗七と、弟の五郎助です。