Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.866 Zeichen · 318 Bildschirme
一〇
昨夜の雨で雪駄の裏はひどく泥が付いてるが、梯子にも屋根にも泥はない。今朝に限って万次郎は店から入っている」
「…………」
「お前が万兵衛を殺したのは何のためかわからない、が、多分貧乏で名高いお前の父親が、若い時の友達だった万兵衛に、金の事で苦しめられているのだろう。――お前の荷物を調べると言ったのは、何か証拠が欲しかったのだ。いや、――お前の証拠を隠すところを見たかったのだ」
「…………」
「竈で焼いたのは何だ」
「…………」
「借金の証文か」
「いえ」
お藤は観念し切った顔を上げました。
一〇
「何だ、言ってくれぬか」
と平次。
「親分さん、私を縛って下さい。私は親の敵を討ったのですが、――人一人殺して助かろうとは思いません」
お藤は静かに立上がると、自分の手を後ろに廻して、平次の側へ寄ったのです。
「親の敵?」
「母の敵――、あの万兵衛は鬼とも蛇とも言いようのない男でした。父と幼友達なのに、父が江戸一番の蒔絵師と言われ、後の世まで名が残るほどの仕事をしているのを嫉み、自分はこんなに身上が出来ているのに、長い長い間企んで、父をひどい目に逢わせました」
「…………」
「要らないと言うお金をうんと貸して、十年も放っておいた上、利息に利息を付け、とても払えそうもない額を、三四年前になって不意に払えと言い出したのです」