Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.866 Zeichen · 318 Bildschirme
山谷の正伝寺へ着いたのは酉刻半(午後七時)頃、門前の花屋へ飛込むと、三十年後家を通した婆さんが一人、その姪という娘が一人、笹枝家へ奉公したという親爺も居ず、たった二た間の家を、嘗めるように捜しても、宗次とやらが隠れている様子もありません。
第一、正伝寺の墓場には、笹枝家の墓などというものの無いことは、花屋も、納所の小坊主も保証をしております。
「これはどうだい、銭形の」
利助は花屋の店先にドッカと腰を据えました。
「石原の兄哥、俺達は大変な間違いをやらかしたらしいぜ」
「宗太郎が嘘をついたのか」
「それに違いないが、嘘も、念入り過ぎるぞ」
平次は考え込みました。
「それじゃ引返して宗太郎を引立てよう」
「いや、もう逃げてしまったろう。あんな悪く悧巧な奴に逢っちゃ、八五郎などはなんの役にも立たぬ」
平次は利助と並んで腰をおろしてしまいます。
「ここへ坐り込んじゃ困るぜ、銭形の」
「待ってくれ、兄哥、俺は大変な事を見落していたんだ――一昨日の晩曲者は八五郎に顔を見られると、その翌る朝、宗太郎が双生児の弟を訴人に来た、――そのくせ弟の隠れ家を知っていると睨まれると、急に弟を庇い出した、――それから小僧と下女は、夜っぴて算盤の音を聞いたと言うくせに、宗太郎の姿を見ていない、――夜になると、自分の部屋に引込んで、奉公人を一人も近づけ