Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.866 Zeichen · 318 Bildschirme
「拙者生害の上は、秘伝書と御墨付、確かにこれなる妹早瀬に御渡し下さるだろうな」
「よかろう、お前さんも武士だ、本当に腹を切ったら、この場で相違なく渡してやろう」
「しからば、縁先を拝借いたす」
桑原伊織は悪びれたる色もありません。縁側に坐り直すと主家と思う方角を遠く伏し拝んで、肌をぐいと拡げました。右手にはもう一刀の切先近く懐紙で巻いたのを持っております。
「しからば、平次殿、御検分役を頼み申す」
キラリと光る刃、女どもはさすがに顔色を失いました。早瀬は深々と顔を埋めて、兄の顔を仰ぐ気力もありません。
「待った」
「…………」
「待って下さい、桑原様」
平次は声を掛けたのです。
「何だ、平次殿」
「たった一つ承りたいことがあります。昨夜、ここへ押込んだ時、外から帰って来た人間があるはずです。それは誰でした、おっしゃって下さい」
「いや」
「お隠しになるには及びません、昨夜の人数の中に、旦那が入っていた事はみんな知っております」
「それでは言おう――」
伊織はグルリと四方を見廻しました。
「ここに居るでしょうか」
「居る、その男じゃ」
ピタリと指したのは、捨吉の青褪めた顔です。