Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.139 Zeichen · 233 Bildschirme
京屋の主人善八は、お澄のお鈴の可憐な美しさに心ひかれて、極彩色の普賢像を返す約束で無体なことを言い寄りましたが、いざとなると極彩色の普賢像を惜しんで渡してくれそうもありません。お澄のお鈴は、たまり兼ねて兄と打ち合せ、ある晩極彩色の普賢像を盗んで逃げ出したところを、主人の善八に追われ、逃げ場を失って、大川へ飛び込んでしまったのでした。
その辺の事情は、善八もお鈴も死んでしまって、判然したことはわかりませんが、お鈴の態度や、善八の気風から判じて、恐ろしい悲劇にまで盛り上げられたことは疑いもなかったのです。
「妹が死んで三日目、あっしは下男に住み込みました。極彩色の仏像と、素木の仏像を替えて、親父の遺言を果せばそれでいいわけですが、馬鹿な振りをして様子を見ていると、妹を殺したのは、やはりあの善八の所業だったことが分って来ました。――あの親孝行な妹は、親父の遺言を守って、野沢琢堂の名を汚したくないばかりに、自分というものを投げ出してしまったのです」
「…………」
丈太郎は泣いておりました。墓の前の土がホトホトと音のするほどしばらくは涙の顔も上げません。
「長いあいだ中風で身動きも出来ない父親を、手一つに看病して、さんざんの貧乏と苦労をなめた妹は、たった一日も、若い娘らしい、晴れ晴れした気持がなかったでしょう。