Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十四)雛の別れ

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.139 Zeichen · 233 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「面白いな八、明日は俺が行って、娘の所作を見極めよう。そいつは何か理由がありそうだ」

「ヘエー、親分が乗出すんですか。――三輪の親分が気を揉んで、見境もなく人を縛りますぜ」

「そんなこともあるまい」

平次は相変らず赤蜻蛉の乱れ飛ぶのを眺めながら、鉄拐仙人のように粉煙草の煙を不精らしく燻すのでした。女房のお静は、貧しい夕食の仕度に忙しく、乾物を焼く臭いが軒に籠ります。

二

根岸は隠殿裏の武家出らしい母娘の家へ曲者が忍び込んで、用人あがりの中老人、市太郎というのを斬って逃げうせたのは、もう一と月も前のことでした。

母親の女主人は浪乃といって、三十五六の少し陰気ではあるが立派な婦人。娘は十二三で、殺された市太郎老人は五十を越したばかり、そして美しい下女――というよりは、お腰元らしいお菊というのは、十八か九で、こればかりは五月の陽のような明るく美しい娘でした。

引っ越して来たのは去年の暮、ひっそりとした暮しようで、西国の武家出とばかり、氏も素性もわかりませんが、近所の評判もよく、店舗も確かで、何の仔細もなく過しているうち、今からちょうど一と月前、ある夜曲者が忍び込んで、入口の六畳に休んでいる市太郎老人を斬り殺し、奥へ踏込むところを、折よく外から帰って来たお菊の声におどろいて、何にも盗む隙もなく、そのまま逃げてしまった