Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.139 Zeichen · 233 Bildschirme
あんまり可哀想でございます」
平次の顔を見ると、淋しい女はいきなり泣くのでした。三河町の手習師匠建部久馬の娘お雪、――これは後で聴きました。
「多勢の人たちでは判らない。気を落着けて詳しく話してみるがいい」
平次は物馴れた調子で、客の話の緒口を引出します。
「親分さん。――私の父親も母親も縛られて行きました。大村藩の浪人だということと、それから、母が子育て観音のお像を持っていたというだけのことでございます。――三十六年前鈴ヶ森の処刑を見た人たちは、怖いことばかり申して、切支丹の疑いが掛っては助かりようはないと――」
お雪は咽び泣くのです。
「…………」
平次はどう慰めたものか、迷ってしまいました。
「今ごろ切支丹の詮議は可哀想でございます。三十年も四十年も前に転んで、観音様もマリヤ様も解らなくなっている人たちを、火焙りや、磔刑にしては、お上のなさることながらあんまりでございます」
「…………」
「私の知っている人で、何の気も付かずにマリヤ観音のお像を持っている方が幾人もあります。朝夕口の中でオラショを称えるにしても、人様に迷惑をかけず、御政治の御妨げになるわけでもございません。