Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.139 Zeichen · 233 Bildschirme
見徳庵――寺とはありませんが、外に似寄りのものもないので、平次とガラッ八は、薪と藁を積んだ小さい廃寺の中に入って行きました。
「今までの火事は江戸の真ん中ばかりだったが、こんな林の中の、誰も気の付かないような庵室を狙ったのはおかしいとは思わないか、八」
「ヘエ、そうですかね」
そんな微妙なことは、八五郎に判りそうもありません。ともかく、二人は庵室の中に入ったまま息を殺して夜中過ぎまで待ちました。
誰も来た様子もなく、何の変化も起りません。
「からかわれたんじゃありませんか、親分」
「シッ」
プーンと夜風に乗って来る線香の匂い、破れても荒れても、庵寺の中にいると、それさえも夜の静寂を深めるばかりです。
それからまた四半刻(三十分)経ちました。事件は実に、突拍子もない形で、予想もしない破局へ押上げられていたのです。
いきなり、ド、ド、ド――ンと、庵室の四方に恐ろしい爆音がひびきました。庵室がそのまま九天の上に吹き上げられるような恐ろしい轟音と爆風です。同時に四方の雨戸も壁も微塵に砕けて、大火焔の洪水が十八尺四方の庵室を包んでドッと吹き入るのです。カッと眼を射る大火光、眉を焼いて吹き上げる焔の渦。