Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.139 Zeichen · 233 Bildschirme
「八」
「親分」
「後ろへ飛出せ」
がしかし、後ろも前も同じでした。庵室の外一パイに積んだ藁が、仕掛けた焔硝に燃え上がって、火焔の壁が二人の命を完全に封じ込んでしまったのです。
「親分、左だ」
わずかな火焔の隙間を見付けると、ガラッ八は自分の袷をクルクルと脱ぎました。
「何をするんだ、八」
「これを冠って下さい」
「お前は?」
「なアに」
平次の躊躇するのを面倒臭いと見たか、八五郎は脱いだ袷を平次の頭の上へスポリと冠せました。
「あ、何をする」
「じっとしていて下さい。親分は大事な身体だ」
矢庭に平次の身体を横抱きにしたガラッ八、有無を言わせず、真っ裸のまま、猛然と焔の中に突進したのです。
「危ないッ」
一応はそれに反抗した平次も、ガラッ八のくそ力に押えられてはどうすることもできません。
しかし焔の壁は思いのほか薄く、一瞬の後には、夜の冷え冷えとした大地の上に、二人は抛り出されたように倒れておりました。
「八」
「親分」
ポッと燃える着物をかなぐり捨てると、平次はさしたる怪我もなく、裸体の八五郎はさすがに軽からぬ火傷を負った様子です。
「八、確りしろ」
「親分、あっしは、もういけない。