Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.139 Zeichen · 233 Bildschirme
「それがどうしたんだ。筋を通してみるがいい」
「こうなんで、親分」
――ガラッ八の話は長いものでした。が、かいつまんで言うと、芝、田町四丁目の旗本佐野将監というのが先年亡くなって、跡取りの求馬というのは二十八歳になるが、芝一円知らぬ者もない馬鹿殿様。将軍家への御目見も病気と称して延々になったまま、重役方に手蔓をたぐって、どうやらこうやら家督は仰せ付けられましたが、あまりの低能振りに、武家方からは嫁のくれ手もありません。
五尺八寸のノッポで、顔は臼のようにでっかく、二十八歳で青洟を二本垂らそうという抜群さ。それが何の因果か、行儀見習に上がっているお腰元、お袖という娘に執心してどうしても嫁に欲しいと言い出したのです。
お袖は驚いて自分の家へ逃げ帰りました。これは日本橋通三丁目の上総屋という糸屋の一人娘で唄の文句にあるような綺麗さ。佐野求馬は虚仮の一心で、死ぬの生きるのという騒ぎを起したのも無理のないことでした。
佐野家からは、あらゆる条件を提示し、人橋を架けての掛合いが始まりました。上総屋の亭主吉兵衛は、娘のために必死になって断りつづけましたが、佐野家は一人息子いとしさに、求馬の母親お育が、用人木原伝之助を督励して、あらゆる手段をつくしての談判です。