Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

出ると、午後五時だった。もうあたりは黄昏の色だった。赤井は首長くして待ってるやろな、怒っとれへんやろかと、ふとそのことを思い出すと、泣き出したくなった。が、お前ももう二十歳やないかと、固くいましめて、涙だけは流さなかった。そして、もう今となっては金を持って行っても手遅れや、赤井に会わす顔もあらへん、金をこしらえても仕様があらへんと、こんな気楽なことをしょんぼり考えて、僅に心を慰めた。しかし何かに追い立てられるような気持だけは、重くるしくいつまでも去らなかった。浮かぬ顔をして、夜の町を逍遙い歩いた。まさか鹿ヶ谷の下宿へ寝れまいと思ったのである。赤井を人質に残して置いて、自分ひとりだけ呑気に下宿へ帰って寝ていられようか。喫茶店へ二回、うどん屋へ二回はいり、そこら辺当もなく、逍遙い歩いている内にだんだん夜が更けて来た。人通りが少くなり、心細くなった。七条内浜まで暗い道をとぼとぼ歩いて行って、木賃宿の割部屋へ泊った。これが赤井の言うデカダンスやと思ってみたり、もうわいは救いようのないほど堕落したと思ってみたり、赤井の顔を想い泛べてみたり、なかなか寝つかれなかった。