Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

一足飛びに五十と行こう。……五十一、五十二、……)

豹一の顔はだんだん凄く蒼白んで来た。ルンバの早いテンポに合わせて、数え方も早くなって行った。

(百数えて、これが実行出来なければ、お前はおしまいだ! 一生人に軽蔑され続けるんだぞ。それでも良いか? お前の母親は辱しめられたんだぞ)

もうあとへ引けないと思うと、豹一はだんだん息苦しくなって来た。銀紙を投げた男はいまにも飛び掛って来そうだった。

(六十二、六十三……、六十七、六十八、……)

豹一ははげしく胸の音を聴いた。ついぞこれまで女の手を握ったことが無いのである。

「七十、七十一、七十二、……七十五、……」

はねつけられた時のことを考えると、だんだん勇気が挫けて来た。いきなり、豹一は声を立てて数えはじめた。

「七十六、七十七、七十八……」

女はあきれてしまった。(この人気違いではないかしら?)

豹一はもうそんな女の顔を見向きもしなかった。ただ、じっと男の顔をにらみつけていた。

「七十九、八十、八十一、……」

ルンバの騒音は豹一の声を殆んど消していた。が、豹一の真赤になった耳は自分の声と格闘を続けていた。

「八十一、八十二、八十三、……」