Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

二

どっと、笑い声が起った。見物人は舞台より二階の余興の方に気を取られてしまった。

ジャズで踊って、リキュルでふけて、

明けりゃダンサーの涙雨

北山はしわがれた声で歌い出した。踊子たちはくすくす笑い出した。しかし、銀子は笑えなかった。踊りが済むと、銀子は楽屋へ駆け込んで、窓側にしょんぼり坐った。次の幕の衣裳をつける気もしなかった。泣けもしない顔を窓にくっつけていると、

「銀ちゃん、何してるの?」寄って来た踊子は、ふと路次を見て、「あら、誰や倒れたはるわ。銀ちゃん、見て御覧」

銀子はいきなり子供のように声をあげて、

「みんな来て御覧! 誰や倒れてはるし」

どやどやと窓側に寄って来た。

「ほんに。――喧嘩やろか」

豹一はしょんぼり立ち上って、すごすご路次を出て行った。道頓堀の勝はとっくに姿を消していた。

二

薄暗い電燈の下で、お君は仕立物の針仕事をしていた。

下寺町の坂を登って来る電車の音や、表を通る下駄の音は凍てついた響きに冴えて、にわかに夜が更けたようだった。お君は針の目に糸を通しながら、豹一の帰りのおそいのを想った。夜業でおそくなることもあるが、しかしこんなにおそいのははじめてだった。