Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
わざわざ呼んでそのような忠告を親切めかす佐古だって警戒すべき一人だと、いえばいえないこともないのだった。そういうことを言われるのも、役目のひとつかと、多鶴子は悲しい心を押えて極めて事務的にきいたまでであった。
しかし、佐古は多鶴子の「ありがとう」という言葉にすっかりのぼせあがっていた。(あの女はおれに感謝してくれとる。あの女は支配人のおれに頼ってくれとる)そう思って、にやにやしていた。佐古のような抜目のない人間でも、いったん女に惚れるとからきしだらしがなくなっていたのである。(ざまあ見てけつかれ!)佐古は心の中でひそかに経営者に向って舌を出した。丁度その時、ボーイがやって来て新聞記者の来訪を伝えた。
「新聞記者?」佐古は眉をひそめた。
新聞記者連には昨日招待状を出し、随分と饗応してやったのだ。おかげで今日の朝刊にはデカデカと村口多鶴子の記事が写真入りだった。宣伝にはなったと、佐古はその効果を一応は喜んだ。しかし、今の佐古としてはなにか人眼のつかないところへ多鶴子をそっとして置きたい気持であった。騒ぎ立てられるのが怖いのだ。多鶴子を張りに来る客はいまはどいつもこいつも恋敵なのだ。