Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

全く運転手に金を払うということさえなかったら、途中でも逃げ出したい気持だったのだ。

ところが、その金は多鶴子が当然のように素早く運転手に渡してしまった。運転手はじつは「金はいくらでも出す」といった豹一から貰いたかったのだが、多鶴子から渡された金を見て、ひどく満足した。

(男ならこんなに呉れるまい)運転手は金を貰った以上、豹一だけを乗せてもう一度走るのは損だと思った。二重取りもさせないほどの多額の金だったのである。それに、二重取りしたくとも、出すまい。「さっき女に貰ったじゃないか」と着いた時いわれるにきまっている。そう思ったから、運転手は、豹一がなんといっても走らなかった。

「もうガソリンが切れてまんねん。どこまででっか?」

「下寺町だ」

「入庫の方角と違いますわ。あきまへん、降りとくなはれ」結局、豹一は降りざるを得なかった。

車は後戻りすべく、夜更けの空気のなかに爆音を響かせて、不格好に迂回しはじめた。ぽかんと突っ立っていた豹一は周章てて飛びのいた。自然、豹一は多鶴子の家の玄関に近寄った勘定になった。

「どうぞ!」多鶴子が言った。

豹一は多鶴子の言うままになるより仕方なかった。