Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

(私はこの人に同情している)

つまり、それでは、やはり豹一に心を惹かれてわざわざ会う気になったということになるのだ。

彼女は周章てて豹一から眼を離した。その拍子に、(あッ、そうだ!)と、微笑した。

(大変なことを忘れていた。この人に頼むことがあったのだわ)

尾行記のことで頼むために、わざわざ会うているのではなかったかと、彼女はまわりくどい径路を通ったあげく、やっとその結論に到達した。多鶴子はほっとして口をひらいた。

「あのう、じつはお願いがあるんですけれど……。きいていただけます? ……昨夜おっしゃってました尾行記のことですけど……」

豹一はぎくりとした。

「……無理なお願いなんですけど、書かずに置いて下さいません?」ほかに弄すべき策も見当らなかったので、多鶴子はそのように真正面から頼んでみた。

豹一は返事の仕様がなかった。いまそれを書いて来たばかしではないか。活字に組まれて、いま頃は輪転機に載せられた時分だろうと思うと、豹一は、

「ど、どうしてですか?」と、なにか胸のあたりが重いような声を出した。が、次の瞬間にはもう豹一は充分意地わるい口調になって、

「書かれちゃ困るんですか?」